仕事が減ったのに、なぜ終わる時間は同じなのか。

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人を一人採用すると、「人数」はプラス1だけど、「戦力」がプラス1になるとは限らない。
最初は教育する人の時間も取られるから、会社全体の生産性は一時的にマイナスになることもある。
パン屋みたいに時間との勝負の仕事だと、
「ゆっくりでも丁寧だからいいよ」
だけでは回らない。
朝6時までにパンを焼かなきゃいけない。
学校給食の配送時間は待ってくれない。
スーパーへの納品時間も決まっている。
そうなると、一人だけ作業スピードが遅いと、その遅れを誰かが残業や早出で埋めることになる。
そして難しいのは、スピードって教えれば伸びる部分もあるけど、その人のリズムや性格に左右される部分も大きいこと。
せかされても慌てるだけで、急に2倍速になるわけじゃない。
人間には、自分が心地いいリズムがある。
忙しい日は少し速くなり、暇な日は少しゆっくりになる。
だから仕事量が2割減っても、終わる時間が2割早くなるとは限らない。

 

経営者は「空いた時間を有効活用したい」と考え、従業員は「余裕ができたから少し楽に進めよう」と考える。
そのズレが、小さな会社ではそのまま経営の悩みになる。大きな会社なら、配置転換や部署異動で調整できるのかもしれない。
でも、従業員が10人にも満たないような小さなパン屋では、それができない。
一人ひとりの仕事のリズムが、そのまま会社全体のリズムになる。人を一人雇うということは、椅子を一つ増やすことじゃない。チーム全体の歯車を一つ入れ替えることなのかもしれない。

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